岡崎フロイデ男声合唱団 公認ブログ

愛知県岡崎市を中心に活動をしている男声合唱団です。

○ 『第九』 と 『万葉集』の御製歌:2021.7.21号

1824年に初演された『第九』 と 5世紀後半に作られた『万葉集』(1-2)欽明天皇の歌に詠まれた込められた理想・精神に何かしら類似点があるように感じたので綴ってみた。

<第九>

Freude, schöner Götterfunken,

 

 

Tochter aus Elysium,

 

 

Wir betreten feuertrunken,

   

 

Himmlische, dein Heiligtum 


歓喜よ、美しい神々の火花よ
天上の楽園の乙女よ!
われら情熱に溢れ
崇高な、あなたの聖所に足を踏み入れる。
  

   

 

Deine Zauber binden wieder,    

   

Was die Mode streng geteilt,

   

Alle Menschen werden Brüder,

   

Wo dein sanfter Flügel weilt.
きみの魔力は、
時の流れが激しく切り離したものを、再び結び合わせ、
あなたの柔らかい翼の留まるところ、
全ての人は兄弟となる。

 Freude!と2回男声が歓喜の歌声を響かせたあと、バリトン(バス)のソロが終わり、合唱団全員が最初に歌い始める章であり、『第九』の言わんとする箇所が凝縮された歌詞である。
 緊張して、高らかに歌い始め心が昂揚する瞬間が始まる。

万葉の時代に、『第九』の歌詞にあるような、素晴らしい理想の国・やまとの国を讃えた歌がある。

萬葉集の二番歌には
舒明天皇が歌われた御製歌(おほみうた)があり、5世紀後半に作られた歌である。

やまとには 群山(むらやま)ありと とりよろふ
天の香具山 登り立ち 国見をすれば
国原(くにはら)は 煙立つ立つ 
海原は かもめ立つ立つ
うまし国ぞ
あきづ島
やまとの国は


【訳】
やまとには多くの山々があるとて、それらの山々を周囲にめぐらし、
付き従えている 天上世界の香具山よ-----------

この香具山に登り、その頂に立って国見をするならば
自分の治める広々とした陸地には、かまどの煙や水蒸気があちらこちらで次々と立ち上がる。
大海原では、かもめがあちらこちらで飛び立つ。
満ち足りて心地良い、素晴らしい国だ。-------- ((あきづ島)やまとの国は)