岡崎フロイデ男声合唱団 公認ブログ

愛知県岡崎市を中心に活動をしている男声合唱団です。

合唱組曲 「遥かなるロシアの大地」から ♪ヴォルガの舟歌♫(第1回)

男声合唱組曲「遥かなるロシアの大地」を岡崎フロイデ男声合唱団が、2019年9月21日土曜日”第3回ふれ愛コンサート”にて歌います。

この組曲はロシアを代表する民謡、旋律がメドレーにて構成され、歌い上げる曲です。

この中の曲を紹介するとともに、その内容を順次説明することにします。

第1回は「ヴォルガの舟歌です。

 

19世紀初頭のロシア::ロシア民謡

本来は農民暴動の内容をもっていたものが、舟ひき人夫の苦しい労働を歌った部分だけ残された。民衆の生活に根ざした民謡隆盛の時代の中で生まれた歌である。

そもそも「ヴォルガの舟歌」と呼ばれている歌は、本来は農民たちの歌です。ロシア語の歌詞をよく読むと、確かに「綱を引け」とか「川岸に沿って歩こう」という文句が入ってはいますが、船はどこにも出てこないし、「白樺を倒そう、うっそうと茂ったやつを」なんて言葉が出てきて、なるほど本来は農地を切り拓く歌みたいです。ヴォルガ川を母と称えたり、「お日様に向かって歌おう」と繰り返したりで、意外と明るい歌ですよ。それを、船曳労働者たちがリズムとりのために歌った、というのが実際のようです。
船曳労働者たちにとって特にキツイのは、船が錨をあげた直後から動き出すまでで、そのときによく歌を歌って、皆で引っ張るタイミングをあわせたそうです。

 


レーピンの有名な絵の方は、実際にヴォルガに旅行したときに描かれたものですが、ロシア語版wikiによると、レーピンはヴォルガに旅行する前年に、ペテルブルクのネヴァ河で初めて船曳労働者を見て強い印象を受け、水彩画を描いたそうです。とすると、彼も「ヴォルガの舟歌」を聞いたかも知れませんが、それがあの絵を描くキッカケだったとは言えない感じです。

ちなみに、船曳労働というのは春と秋だけの季節労働だったようです。つまり雪解けや大雨による増水で河を遡るのが難しい時期だけ、人力で船を引っ張ったわけです。レーピンの絵では、曳かれている船は帆をたたんでいますが、順風のときには早く進むように帆を張ったそうです。
この仕事は、蒸気船の普及とともになくなったということで、『蒸気船があったにも関わらず』というのはちょっと違うようです。いくら安かろうが、それなりに賃金を払わなきゃいけないんだから、船曳労働に頼らずに済めば、その方がいいに決まってますしね